海外送金の限度額の壁をクリアするには

一般的な外国送金の限度額は500万円相当まで

グローバルな時代になり、海外との資金のやりとりもスムーズになったと思いきや、実はそうではないことに驚く人がいます。

外国人が日本に働きにくることも多くなり、同時に送金における犯罪やマネーロンダリングのリスクが高まったため、より厳しいハードルを銀行側は設定する必要が出てきてしまったからです。

個人および法人における1回あたりの送金上限金額は500万円相当額としている銀行があります。銀行によっては100万円、300万円程度に抑えているところもありますね。

同じ銀行でも支店によっては外国送金を受け付けてくれませんし、受け付けてくれる支店は年々少なくなっています。

金融機関等における送金取引等についての確認事項について – 金融庁

外国送金については外為法に規定されている

そもそも外国送金を行うことは合法なのでしょうか。

これについては明確に外国為替及び外国貿易法(通称、外為法)において規定されており、原則外国送金や外貨と縁の交換は自由となっています。もしこれが自由でないという法律に変わった場合、海外に送金することはできなくなることを意味します。

日本と海外との間の送金を行う際に必要な手続はどうなっていますか – 財務省

一方、自由とはいえ日本から海外の銀行に送金する場合、同じく外為法第55条の規定により、送金額が3,000万円を超える場合、送金を行なった銀行は日本銀行へ事後報告を行うこととされています。

これは送金してはならないという規定ではありませんが、報告が’必要となるかならないかで分け、送金限度額を3,000万円で一区切りする銀行もあります。

例えば1億円の海外送金を行うには

限度額が設定されているから、それ以上の金額が送金できないのではと思うかもしれませんが、必ずしもそうではありません。事業で必要とする資金も当然ながらありますよね。したがって、

送金している人は送金している

ということです。何の気なしに送金はできないけれども、理由があれば送金はできるわけです。

では例えば1億円を海外送金したいとしたらどうすればよいのでしょう。

特定の大手銀行において、多額の海外送金をそもそも認めないというケースは実際にあります。その場合、なぜ海外送金できないのか、という点に関しては銀行側に聞いたとしても「総合的な判断から」といった言い方でしか答えてはくれません。

この各行の判断はマネロン対策という名目で金融庁から推奨されているものですから、残念ながら断られてしまった時点でなすすべはありません。強く反発すること自体が疑念を呼ぶ可能性はあるので、理不尽に思うかもしれませんが、丁寧に対応することがお薦めです。

一般には、海外送金に対して

合理的な動機と証拠

が求められると考えてよいでしょう。

何も説明しなくても送金してよい金額が300万円だったり500万円だったりするだけです。

それ以上になると、書類などを揃えて説明をし、銀行から認めてもらう必要があるのです。それも担当者レベルではなく支店長レベルで認める必要があります。

もし書類を求められることなく断られたとしたら、恐らくその銀行支店では外国送金は受け付けていない可能性が高いので、諦めて別のところを探しましょう。

ここでいう「合理的な動機と証拠」に正解は存在しません。

銀行の担当者や支店長を納得させられるだけのものであればよいのです。普段利用することもない支店に突然現れて1億円を海外送金したいと申し出たらどうでしょう?とりあえず事情を聞くのが自然ではないでしょうか。

他の支店で断れたがどうしても事業で送金する必要があるのだ、といってようやく話が進みます。あるいは海外投資の契約書を見せて、送り先と意図を伝えることから始めてもいいかもしれません。

ただ、それでも銀行担当者はそれが詐欺ではないかと疑うので、関係する会社の担当者の名刺を出したり、あるいは信頼できる人物に同席してもらうこともひょっとしたら有効かもしれません。準備をした上で銀行に行くか、あるいは予め相談しておくことが重要でしょう。

一番楽な方法はご自身のことをよく知る銀行に行くことです。

普段からあなたがどんなことを考えているかを分かっている担当者であれば、外国送金が何一つ不自然でないと思うので、支店長を説得するのにも特に支障はないでしょう。プライベートバンクなどを利用している場合は、預かり資産が減ってしまうので、難癖をつけて外国送金を止めるかもしれません。しっかりと明瞭に、そして慌てることなく冷静に対処することが最も大事です。