大暴落するHSBCの株式は買いか

HSBCの株式が大暴落

英銀HSBCは大手グローバル銀行の中でも特に信頼の厚い株式だったにも関わらず、2020年に入って、急速な株価下落に見舞われています。

HSBCの香港上場株は年初来では50%を超える下落となっており、香港のハンセン指数の構成銘柄の中でも最悪のパフォーマンス、また3月の金融市場のショックの後も一貫して下落を続けたことが印象的です。株価の水準で言えば、今は1995年以来の低水準です。

実際、投資家の姿勢にも変化が見られており、長期の投資家たちも先行きの不安を拭えない状況です。「株価が回復するとは全く期待できない」という声もあります。

株安のHSBC、長年の投資家も愛想尽かす-年初来で8.7兆円消失 – Bloomberg

一方で、この株価下落が、倒産確率の上昇と結びついているかというと、現状では少なくともそうなっていません。

HSBC自体は格付けも高いですし、例えば以下の社債で言えば、直近で少し利回り上昇がありますが、どちらかと言えば2020年3月の債券急落のインパクトの方が大きかったことは明白です。

ただ、足元は中央銀行による大量の資金供給により、ゾンビ化する企業が多いのと同様、債券市場が倒産確率を正確に織り込まない、こともあり得るので継続してみていくべきポイントです。

HSBCの株価下落の背景

なぜこうもHSBCの株価が下落しているのか、銀行セクターの課題、HSBC固有の課題に分けて考えてみましょう。

銀行セクターの課題

①マネーロンダリング

直近最も影響が大きかったのは、2020年9月20日に、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)による、いわゆる「フィンセン文書」の報告でした。これはグローバル銀行各行に対して非常に大きなインパクトがありました。

この中で、HSBCは過去20年間にわたり、米当局からペナルティーを科せられた後も「強力で危険なプレーヤーから利益を上げ続けていた」グローバル銀行の一角に位置付けられています。

②低金利

日本もそうですが、低金利環境の継続は銀行の本来の機能である貸出による利益を圧迫するため、主要国金利がほぼゼロ金利に縛られるようになった状況は決して風向きは良くなかったと言えるでしょう。

③新型コロナウィルス

銀行業にとっても外出禁止による窓口業務の停止、あるいは取引先企業の経営悪化による貸倒引当金の増加など、悪影響が続きました。店舗の閉鎖などで一時をしのぎつつも、本来の銀行業務は思うように再開できていません。

HSBC固有の課題

もともとHSBCはイギリスに本拠地を置く銀行であり、数年前からはイギリスのEU離脱により、金融セクターが受ける影響は大きいとされてきました。EU離脱完了により霧が晴れるかと思いきや、イギリスでも新型コロナウィルスが拡大し、景気の低迷期に入ってしまっています。

HSBCの香港はやや英国サイドとは切り離された存在ではありますが、イギリスとの関係は切っても切れません。特に、イギリスから中国に返還された香港という地域の存在について、2019年から度重なるデモや2020年の国家安全法導入に到るまで、様々な不透明感が漂いました。香港といえばHSBCだったわけですから、同地における経営の舵取りは困難を極めています。

HSBC復活のカギ

さて、そうは言ってもこれだけ株価が下がれば、そのうち回復するのではという期待もありそうですが、この先に一体何を期待すれば良いのでしょうか。

①割安買い

一つには、先に述べたとおり、債券の動きを見る限り、HSBC自体の信用不安には直結しづらいとは思えるので、トリプルパンチを食らっている間に株式を買っておけば、少なくとも割安な買い物ではあると判断できるかもしれません。

②米中摩擦の緩和

香港の場合、米中の貿易摩擦の狭間に置かれていますので、米大統領選挙を終え、米中関係に少しでも歩み寄りがみられれば、自然と香港での経営環境が良くなり、株価の回復に繋がるかもしれません。

③ウィルス感染拡大の落ち着き

HSBCの株価に限ったことではありませんが、やはり不況下およびウィルス感染拡大下における企業経営は楽ではありません。新型コロナウィルスを懸念しなくてよい日がくれば自ずと株価の回復に繋がるかもしれません。

最後に

ポストコロナにおいて、企業経営のあり方は大きく変容している可能性は十分にありますから、過去の株価水準にとらわれすぎず、投資家として新鮮な気持ちで臨むことは大切かもしれません。