ソフトバンクグループの株価上昇が止まらない。
どうしてなのか不思議に思っている人もいることでしょう。誰もが気になるソフトバンクグループの未来について今回は考えてみたいと思います。
ソフトバンクグループとは?
ソフトバンクグループの代表取締役兼社長は言わずと知れた孫正義です。
ソフトバンクグループと、その子会社に当たる電気通信事業を行うソフトバンクはよく区別を間違う人がいますが、グループとしての経営理念は「情報革命で人々を幸せに」であり、情報通信会社から戦略的持株会社への転換を掲げています。プロ野球チーム「福岡ソフトバンクホークス」の親会社でもあります。
ソフトバンクの原点を辿るのであれば、1990年の初代ソフトバンク株式会社の設立にあります。その後、1996年には米国Yahoo! Inc.との共同出資によるヤフー株式会社の設立、2004年の福岡ダイエーホークス買収がありました。ソフトバンクの携帯電話事業者としての参画は、2006年のボーダフォン日本法人買収に起源があります。
グループ内の社名変更を通じて、戦略的持株会社への転換を明確にしたのは2015年のことでした。
孫正義の悩み
「企業価値を正当に評価してもらえない」
孫氏は決算発表で度々このことに触れており、保有資産の評価額に基づく企業価値と株式時価総額の乖離が一時期は2倍近くに膨らんでいたことが挙げられます。
実際、外部の評価でもそれをもとに割安と主張する向きもありましたが、現実には乖離は存続しています。
投資家の悩み
「情報通信会社の面影はなく、投資会社として見るしかなくなった」
ソフトバンクグループを情報通信会社として見られなくなったと感じる投資家は多く、それは持株会社であること以上に、一種の投資会社の様相が強まったことに由来します。もちろん、ソフトバンクビジョンファンドは本体と切り分けられたファンドですが、グループ本体もまたファンドとの関係を複雑にしていると考えられています。
幹部の悩み
「意見を言うことはあるが、マサ(孫正義)が全て決めることだ」
直近最も話題に上っているのは株式の非上場化ですが、社内でも意見は分かれていると言われています。MBOをするには企業価値が大きすぎること、上場メリットが薄れているにせよ、MBOでは今後のガバナンスにさらなる不安が生まれることなどが懸念されています。
ソフトバンクグループの向かう先
2019年、いわゆるウィーワークショックで世間を騒がせたソフトバンクグループでしたが、さらにコロナショックが追い討ちをかけた結果、2020年1〜3月期の連結決算においては、投資先の業績低迷により最終損益約1兆4,000億円の赤字を記録し、また、新たなソフトバンクビジョンファンドの立ち上げも凍結されました。
自社株買いにより負債圧縮を行ったこと、「金のなる木」であったアリババ株を現金化したこと、Tモバイルやソフトバンクの株式を売却するなど、バランスシートの大きな変化を2020年は経験しています。結果として、市場の回復と不確実性の削減が重なり、過去最高値の株価へと上昇しています。
さて、今後のソフトバンクグループの向かう先は、というと正直なところ孫正義のみぞ知る、なのかもしれません。
リスクのない企業とはとても言えず、毎回決算のたびに投資家を驚かせることは想定の範囲内と考えるべきでしょう。
かつてのように携帯事業会社=安定、ということは今後はあり得ないですし、情報革命ということの意味は、「情報革命を起こす企業への投資」と置き換えても良いのかもしれません。
再びITバブルの様相を呈すれば、非常にリスクの高い企業であることは間違いない一方で、時代の先を見せようとする企業である、と見ることもできそうです。
2020年8月の決算記者会見では「全部売却も選択肢だ」と話したことからも再び何らかの事業転換を図るタイミングに来ているのかもしれません。
もし今後も投資会社としての位置付けを守るのであれば、一旦現金化を進めたソフトバンクグループが有り余る資金を元に、次に目をつける企業がどこになるのか、今後もソフトバンクグループの動向には目が離せませんね。