分散投資のメリットとデメリット

今回は、万人が使える投資手法と言われる「分散投資」についてメリットとデメリットを挙げてみます。盲目的に分散投資を行うのではなく、分散投資の意義とデメリットをよく知って、効果的な分散投資を実践したいものです。それぞれ3つほど挙げてみます。

分散投資のデメリット3つ

デメリット① 分散しすぎるとかえって損する

投資商品の場合、売買手数料や維持管理手数料が存在します。分散をしすぎると、全賭けをしているようなものなので、投資結果として勝ちも負けもしないかもしれませんが、手数料分だけ負けてしまう可能性があります。

資産の種類や規模によるところはありますが、個人投資家の場合、概ね6〜8くらいに分散しておけば十分でしょう。それ以上では自分が何に投資をしているかすら分からなくなってしまいます。

デメリット② 色んな商品に細かく投資しても分散したことにはならない

何に投資をするかはともかく、とりあえず分けて細かく投資をすればいいんだ、と早合点してしまってはいけません。よく言うのは株式と債券という逆相関しやすいものを組み合わせる方法ですね。株式の中でも、テクノロジーの銘柄に対して、インフラの銘柄を入れる、と言った具合に業態の異なるものを組み合わせるのも一つの答えです。

しかし、自動車産業の中で、上位10社に分散投資する、といった戦略は、自動車産業自体に逆風が吹けばどの会社でもダメなので、分散ができている、とは言い難いです。

デメリット③ 分散投資は頭が悪い人がすることだと勘違いしてしまう

頭のいい人ほど分散投資を嫌う傾向があります。なぜなら、銘柄選びをするときにわざわざ負けそうなものを選ぶなどということがしたくない以上、勝てると思った銘柄に一点張りしない合理的な理由はないと思ってしまうからです。

でも、頭がいいからと言って未来が読めるとは限りません。いくら投資は自己責任とはいえ、分散投資を頭が悪い人がすることだと思うのではなく、未来が違う方向に向かったときにも備えている、賢い人だと考えるべきなのです。

分散投資のメリット3つ

メリット① 分散投資によって、「ローリスクハイリターン」の状態を作り出せる

これはポートフォリオ理論という、経済理論で立証されていることなのですが、分散投資によって、リスクを減らしつつリターンを確保することができる、とされています。一見すると矛盾していることのように思いますが、この事実が理論的に認められていることが、分散投資が世の中に広まった最も大きな支柱であることは言うまでもありません。リスクとリターンのトレードオフならともかく、リスクを減らすと同時にリターンの向上が期待できるならば多くの人に支持されることは想像に難くありません。

メリット② 分散投資によって、安心して長期的な運用ができる

投資商品は単独では日々大きな変動を繰り返しています。放ったらかしな運用を行う人の場合は、気づいた頃には資産が何倍にもなっているかもしれませんが、逆にほとんどなくなっているかもしれません。多くの人は、資産がそのまま残っていることを期待するので、やはり安心できる運用は重要です。分散投資を通じて、一瞬で資産がなくなったりするリスクを排除し、長期的に運用を継続していく必要があります。

メリット③ 分散投資によって、行動バイアスが補正される

自分の目利きを信じて投資を行う、ということが悪いわけではありませんが、人が行う場合は、行動バイアスが働くことがよく知られています。例えば、相場が下落を続ければ見通しを暗くして損切りをしてしまったり、相場が上がっていると乗っかかって高値掴みをしてしまったり、あるいはバブルであることに気づかず、利益確定のタイミングを逃したり、といったことが起こりやすくなります。

結論

分散投資とは、一点集中はリスクが大きく、上手く分散すればリスクを下げつつ、リターンを確保できる、ということを言いたいわけです。そして、分散をする、と決めていることが人間の行動バイアスを補正してくれる大きな可能性を秘めているわけです。

したがって、分散投資にあたっては

1)何に 2)どのように 3)どれだけ

分散するかを最初に設計をしてあげることが非常に大事です。

また、予め分散されたものに投資をする場合も、

1)何に 2)どのように 3)どれだけ

分散されているかを確認した上で、投資をすることが非常に大事です。

頭のいい人ほど、「これなら必ず勝てる!」というものを見つけたがり、わざわざ勝ち負けを相殺するような行為に何の意味があるのか、という指摘をしそうですが、長期的には続かない可能性があります。

分散投資にあたっては、資産運用についての正しい知識と豊富な経験を持った、バイアスのないアドバイスを受ける必要があります。

また、手数料の高い商品で分散投資をしてしまってはもったいないですから、ただ「分散投資をしたい」ではなく、「コストとリスクを抑えながら分散投資をしたい」という強い意思を示す必要があります。