マンション投資で注意すべきリスク

「投資用マンション」「収益不動産」「賃貸用物件」などと呼ばれ、生活に身近な居住用不動産は投資の対象となりやすいです。

特に現物投資に重点をおく投資家にとっては不動産は確実にポートフォリオに入れておきたい資産になります。初めての投資が不動産だったという人は少なくないでしょう。

今回はその中でも、マンション投資において注意すべきリスクについてざっくりまとめてみたいと思います。

マンション投資はハイリターンではない

もちろんマンションにも色々ありますが、人が住むマンションなので、法外な賃料を徴収することはありません。

また、マンション自体は「世の中に二つとない物件」であっても、マンション内には似たような部屋がありますから、マンション価格には”相場”が存在します。

周辺の物件と比べても不自然な値付けはされません。もしリターンが高ければ投資家がどんどん現れますから、自然とリターン水準は落ち着いてきます。

つまり、マンション投資はハイリターンを期待できません。ただし、通常の賃貸契約の場合は2年以上同じところに住みますから、安定したリターンは望めます。

不動産は売買に時間がかかり、換金しづらい

不動産は売買の手間が大きいです。物件は唯一無二ですから、取引の相手方がすぐには見つからないことが想定されます。

もしすぐに売りたい場合は、価格を下げなければならないかもしれませんし、売買契約は自分と相手方の二人だけで口約束で完了するものではなく、所有権移転のための登記が必要ですから、売買代金の決済完了までに数ヶ月を要する場合もあります。売買をする場合は、時間軸には余裕を持って臨みましょう。

入居者の選定は意外と重要

賃貸物件においては、入居者と面接があるわけでもなく、入居者の募集は人に任せてしまうケースが多いですが、入居者の選定権は常にオーナーにあります。

そのため、入居者が決まる前には必ず確認が入るはずです。入居者に対する情報はいくらでも手に入るわけではありませんが、一般には勤め先情報や年齢、性別などが分かります。差別はできないのではと思う人もあるかもしれませんが、保有物件に対して入居者が適正かどうかは考える必要があります。

例えば、無職であれば賃料支払い能力に問題があるかもしれませんし、個人事業での事務所に使われてしまうかもしれません。保証会社の利用は増えていますが、保証人がきちんと選定されているかも、滞納が起こった場合などはリターンに直結するので重要な要素です。

所有マンションでの経営権の行使

マンションを投資と思っている人は、経営権があることをあまり意識しません。しかし、所有する物件をきちんと管理すること、マンション全体の経営に参画することは各オーナーの義務です。

したがって、管理組合がきちんと機能していることを確認するとともに、当事者として管理組合の運営に加わることが求められます。もちろん、管理会社に丸投げをして組合運営がままならない投資用マンションもありますが、決して良い状態とは言えません。

マンションは、オーナーによってきちんと管理され、建物として良好な状態を維持できたとき初めて長期の資産として成立するのです。

オーバーローンの可能性

不動産価格は放っておけば下がります。これは、不動産価格に占める建物価格が存在するからです。

地価はそう簡単には下がりませんが、建物価格は減価償却により淡々と下がっていくのです。物件購入時にローンを組んだ場合、返済のスピードに対して、減価償却のペースが早い場合は、オーバーローン状態に陥る可能性があります。

もちろんオーバーローンになったからといって即座に売却を余儀なくされるわけではありませんが、もし売ることになれば損失が出ることを意味しています。保守的なローン契約では、物件価格に対して20%は頭金を設けます。

しかし、理想を言うならば、物件価格に対するローンの比率は60%くらいに留めるのが理想です。急激な不動産価格の低下や、止むを得ず売らざるを得ない場合、あるいはローン金利が急激に上昇する場合などにも十分なバッファーを持って望めるからです。

地震への備えは実は難しい

日本の場合、最もダメージの大きい天災は地震です。しかも、結構な頻度でやってきますし、ひょっとすれば建物が全壊する可能性もあります。

投資家としては地震に備えるのに地震保険があるじゃないかと思うかもしれませんが、残念ながら地震保険のカバー範囲は狭く、そして保険料が高いことが一般的です。つまり、それくらい地震のリスクは多く、保険会社としても負いたくないリスクだということを意味しています。

では、リスクがヘッジできないのであれば投資をすべきではないのではと思うかもしれません。ただ、地震で損傷をするマンションというのはさほど多くはないということは覚えておいていいかもしれません。

築年数の浅いマンションであれば、耐震基準を満たしていなければマンションとして売られていません。一方、築年数の古いマンションであれば、耐震工事の記録を見ることで地震にどのくらい強いマンションなのか、は把握が可能です。地域の災害マップと見ることや、地盤が強い地域なのかどうかなどのチェックも有効かもしれません。

まとめ

投資にはリスクがつきものです。不動産投資の入り口となりやすいマンション投資ですら、たくさんのリスクを考慮しなければなりません。

ただし、投資は始めないことには気付かないものも多く、投資家として成功するためには様々な経験を積む必要があります。管理組合の総会への参加など、一見するとリターンのない行為も、実は保有マンションの状態を知るきっかけになったり、入居者からのリクエストの状況を把握するきっかけになったりします。リスクにしっかりと向き合って、投資に挑みたいものです。

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