プライベートポートフォリオボンド(PPB)を元プライベートバンカーが薦める理由

資産管理のために口座開設をする

個人であれ、法人であれ、銀行口座の開設目的には様々あるでしょう。日々の資金決済、貯蓄、投資、等、口座開設時にざっくり聞かれるアレです。ただ、現実には”口座”といっても色々ありますよね。当座預金口座、普通預金口座、総合口座、証券口座、・・・。つまり、「目的にあった口座」を保有することが必要だし、適宜案内されていることになります。

では、資産管理のための口座として適切な口座とは何でしょうか。銀行に行けば、「銀行が提供する口座の中でニーズに最も近い口座」を案内されるわけですが、それで満足する人は多くはありません。

富裕層の場合、資産管理のための口座として一番に考えるのはプライベートバンク口座でしょう。専属のバンカーがつき、選りすぐりの商品を勧めてくれるブティックのイメージがあるからでもあります。これは決して間違っていません。

一方で、もっと違う選択肢も実はあり、資産管理会社を開設したり、自らファンドを立ち上げたりといったことを考える人もいます。ただ、これらは運用のプロ、税務のプロ、法務のプロなどを雇う費用がそれなりにかかるので、お手頃とは正直言えません。

今回の表題である、プライベートポートフォリオボンド(PPB)はそうした数ある選択肢の中で、特に海外の富裕層が選ぶ資産管理口座です。少し詳しくお話ししたいと思います。

PPBでは”ボンド≠債券”である

”プライベートポートフォリオボンド”と聞いたとき、投資に心得のある人であれば、特異なリターンを稼ぐ債券、あるいは仕組債の一種なのかという印象を持つ人は多いです。ただ、これは単に英語の語彙の問題であって、ここでいう”ボンド”とは債券ということではなくて、「契約」くらいの意味合いで使われています。(bond = close connection、密接な、拘束力のある繋がり、という意味なのです。)

したがって、プライベートポートフォリオボンドとは、「あなただけのために資産管理を行う契約」といった具合のニュアンスなのです。PPB自体が何か投資リターンをもたらしてくれる存在というわけではないことは念頭に置いておきたいものです。

PPBは箱ないし器であって、中に何を詰めるかが自由

複雑に考えたくない人にとっては「PPBは専用口座なのだ」と思っていただくのが良いかと思います。ファンドのように他の投資家と資金が混ざることはないし、資金が手元を離れることもありません。あなたの口座なのですから。

ただし、PPBはいわば箱ないし器であって、資金を入れれば勝手に増えるというものではありません。

ファンドラップ口座のように、ある程度投資できるバスケットがあれば逆に分かりやすいのかもしれませんが、PPBの場合は大体の投資商品にアクセスが可能です。ただし、PPBで扱える商品かどうかは簡易的な審査があったりしますので、特定の商品を検討している場合は確認が必要なのと、逆に言えば審査をやってくれるので、怪しい商品に手をつけてしまうといったリスクは低減されると言えます。

いわば無限の投資ユニバースを提供してくれるPPBだからこそ、その潜在能力を活用できるかは投資家自身、あるいはファンドアドバイザーの力量に完全に依存します。PPBの中身に詰めるもの次第では、どこかのファンドラップと何も変わらない、宝の持ち腐れにも繋がってしまいます。

単に資産を詰め込んだバスケットではなく、プチファンドマネージャーとして管理が可能

ポートフォリオというのは単に資産状況を意味していません。投資家によっては、単に勝てそうな商品を買い漁った結果をポートフォリオと呼んでいることもあるようですが、それはとてももったいないことです。

各資産のリターンには相関があったりするので、せっかくの投資アイデアがお互いに潰し合って、結果フィーを払って終わりということになりかねません。資産全体を適切に管理することが求められます。

PPBの場合、先に述べたとおり、無限の投資ユニバースを提供し、またマルチカレンシーで保有ができ、投資状況は一目瞭然です。加えて、外部のファンドアドバイザーをアサインすることはでき、かつ彼らはプチファンドマネージャーとしてあなたの資産状況にリアルタイムでアクセスし、適切な資産管理を提供してくれます。

PPBを利用する人の特徴とは

一体どんな人がPPBを利用しているのでしょうか。もちろん、口座そのものの魅力もそうですが、個々人の状況に由来する課題に対するソリューションになり得ることもPPBの魅力に繋がっているようです。以下は、PPB利用者の特徴です。

・プライベートバンカーのしつこい営業が嫌になった

・フィー体系が明瞭であって欲しい

・居住地が変わってもポータブルな口座が良い

・海外資産管理会社では税務的な不安が残る

・資産の相続対策を同時にしておきたい

なぜPPBを元プライベートバンカーが勧めるのか

PPBは厳密に言うと銀行口座ではありません。しかし、活躍した元プライベートバンカーが独立したときにはよく利用されているようです。聞いてみたところによると、

・口座の柔軟性が優れている

・気軽にオフショアの口座が保有できる

・お客様との長期のリレーションが築きやすい

・過剰なフィーをとっていないという実感がある

など、営業プレッシャーから離れ、それでも実力のあるプライベートバンカーが、よりクライアントとの関係を強めていくために良いプラットフォームと考えられているようです。

気になるPPBの費用はどれくらいか

提供先にもよりますが、口座の開設及び維持にかかる費用は概ね、投資資金に対して約7〜10%くらいが多いようです。ただし、最初に一括で払うというよりは当初数年にわたって少しずつチャージされますので、どこかのファンドに投資をしたり、プライベートバンクで運用をしていれば永久に年間数パーセント抜かれることを思えばそこまで高くはないと言えるかもしれません。ただ、適切なところに行けばこの7〜10%くらいの費用は3%くらいまでは減らすことができるので、入り口をよく吟味する必要はありそうです。

あとは、ファンドアドバイザーの費用ですが、こちらは年間0.5〜1.0%くらいが一般的ですが、口座開設時の紹介手数料で稼いでいたり、あるいはポートフォリオ管理に自信がない場合は、チャージをしない人もいるようです。ただ、そのような場合にPPBを使いこなせるかどうかは投資家であるあなた自身によります。

PPBの利用に必要な資金はどれくらいか

PPBの最低利用額は入り口となる企業によって異なりますが、商品単独の制約であればおよそ1,000万円ほどあれば利用が可能です。

ただし、利用にあたっての固定費用も存在するので、5,000万円以上、理想を言えば1億円以上あることがPPBのメリットを十分享受できる金額と言えるでしょう。

適切なファンドアドバイザーをアサインすることが重要

PPBは中身が重要、ということは先に触れたとおりです。特定の資産だけを保有する場合も、税制面などでのメリットは得られるかもしれませんが、魅力は半減します。プロの投資家であれば、ご自身で投資商品の吟味をすることも選択肢かもしれませんが、多くの場合は適切なファンドアドバイザーをつけることが重要になってきます。

ただし、ファンドアドバイザーにおんぶに抱っこな状態になることもPPBのメリットを減らすでしょう。もしファンドアドバイザーが気に入らなければ、いきなり口座閉鎖ではなく、ファンドアドバイザーのスイッチングをすることを検討してもいいかもしれません。

弁護士の顧問契約を他者に変更するのと同じ感覚です。最も良いのは、投資家とファンドアドバイザーが二人三脚でしっかり歩んでいくことで合って、それによってあなたの資産管理のゴールに着実に近づいていくことができるのです。

関連ブログ:プライベートバンク口座は最低いくらから開設できるのか

関連ブログ:日本に居ながら海外の運用口座を開設するには