プライベートバンク口座は最低いくらから開設できるのか

プライベートバンクの利用者は富裕層

単に銀行口座の預金口座残高が一定額を上回れば自動的にプライベートバンク口座に昇格するようなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、実際はプライベートバンクという業態は通常の銀行とは別の銀行、あるいは同じ会社でも別の部門が対応しているのが一般的です。そして、金融資産を1億円以上保有する個人のことを「富裕層」と呼びますが、プライベートバンクはこの富裕層をターゲットに事業をしています。

プライベートバンク口座は最低いくらからか

一般的なプライベートバンク口座の最低預入額は

1億円

と考えておくのが無難です。

この水準であれば探せばプライベートバンク口座は開設できます。

逆にそれを下回っているようであれば、本当にプライベートバンククオリティのサービスを提供しているのかはよく見極める必要があります。開設するのが目的化してしまって、開設した後の選択肢が少なくなったり、高い手数料を取られてしまったり、あるいは出金できなくなったりといったことは避けたいものです。

富裕層の増加とともに、最低預かり資産のハードルを上げたプライベートバンクは多い

伝統的なスイスのプライベートバンクなどでは、金融資産が数十億なければ口座開設ができないことがありますが、それ以外のプライベートバンクでも近年は最低預かり資産のハードルを上げている例は少なくありません。

理由としては、アジアを中心に富の蓄積が見られ、富裕層に属する人たちが増えているので、より大きな資産を持つ個人にターゲットを絞ることで十分収益が獲得できるようになっているからです。ただ、富裕層になったというだけでなく、世の中の富裕層と比べてどの程度の資産を保有しているかも、影響してくるわけですね。

少し前までは金融資産1億円で開設できたところも、いつの間にか10億円がハードルになっていたりします。逆に、早く開設したとしても10億円がハードルになった頃には口座閉鎖に追い込まれるケースもあるので、プライベートバンクとしての経営戦略にも少しアンテナを張っておく必要はあるでしょう。

準富裕層でも利用できる可能性はあるが、口座制約を把握しておく必要

近年は、従来富裕層を相手にしてきたプライベートバンクサービスが、上記のように超富裕層を相手にするサービスに昇格する一方で、金融テクノロジーの発達などで金融資産5千億円程度の準富裕層にも同じように利用できるサービスとなっている面もあります。

一方で、準富裕層も毎年相当数が新たに誕生していますので、準富裕層をターゲットとしてサービスを展開する企業がありますが、口座において投資できる資産が限定されたりと、いわば劣化版になるケースも散見されています。もちろん、プライベートバンクが利用できることには変わりありませんが、利用することを通じて今後の資産の伸びが阻害されることのないようにはしたいものです。

プライベートバンククオリティの運用サービスは拡大しつつある

少しネガティブなことも書きましたが、プライベートバンククオリティの運用サービスは実際のところは拡大しつつあります。金融資産3千万円くらいでも全く遜色のないサービスを受けられるところもあるでしょう。サラリーマンであれば、全財産を注ぎ込むようなリスクになるかもしれませんが、会社経営者や投資家、あるいは相続財産のある人などは十分顧客となり得るでしょう。

プライベートバンクは魔法の口座ではなく、正しい運用パートナーに出会うことが重要

プライベートバンクといっても預けておくだけで増えるような、魔法の口座を提供してくれるわけではありません。プライベートバンクでは様々な資産に投資を行うことができるうえ、専属の担当者がつきます。いわば、パーソナルトレーナーのようなもので、顧客の投資家としての成長に合わせて様々な提案を行ってくれます。

初心者のうちは薦めない商品も、投資家として知識をつけ、十分にリスクを理解していると担当者の目から見て判断できれば投資できるようになるものもあるのです。つまり、相性の良い運用パートナーに出会うことができれば、ご自身にとっても心理的に快適な資産運用を行うことができますし、上手く波長が合わなければ資産運用の経験そのものを損なってしまうこともあります。

プライベートバンクの良いところは1対1

先に触れましたが、プライベートバンクは別部門なので、一般の顧客と顔を合わせることはありません。プライベートバンカーもまた、クライアントのプライバシーを非常に大事にすべきことを知っているので、同僚にクライアントの名前を漏らすことも厳に慎む例もありますし、ましてご家族や会社のことを外に漏らすこともありません。

専属の担当者が1対1で対応を行いますので、家族に話しづらいことも話してしまうことすらあるでしょう。逆にいえば、そういったプライベートな情報を漏らしてしまうようなリスクのある担当者かどうかはよく見極める必要があります。

プライベートバンク口座の開設方法は誰に聞けばいいのか

実はこれは非常に難しい問題です。

理想は既にプライベートバンクを利用している友人などからの紹介が最も安全かつ安心です。ただし、プライベートバンクを利用していること自体を他の誰にも話さないことが多いこと、プライベートバンカー自体も公には集客を行っていないことから、門戸が近くにあっても気付かないケースがほとんどです。一見さんお断りのお店みたいな感じですが、誰かを連れていくという発想はないといったところ。

書籍やセミナーを通じて知り合った人であっても、プライベートバンクを開設したい、と言って問い合わせること自体が、私にはそれだけ資産があります、ということを暗に伝えてしまっていることも一つのリスクです。直接銀行に問い合わせをしないルートをとるか、あるいは、ある程度情報公開を控えながら、問い合わせを行い、丁寧でかつ正確な対応をしてくれるところを探す、というのが現実的かもしれません。