ユニバーサル生命保険のメリットとデメリット

日本では、定期生命保険(Term Life Insurance)か、終身生命保険(Whole Life Insurance)が一般的ですが、海外にはユニバーサル生命保険(Universal Life Insurance)というのがあります。それが一体どのような保険なのか、またメリットやデメリットがあるのかをまとめてみたいと思います。

ユニバーサル生命保険とは?

ユニバーサルという言葉から連想できるとおり、「柔軟性」がウリの生命保険です。通常、生命保険の場合、購入時に、保険料とその支払い期間、保障額などが決まってしまいますが、ユニバーサル生命保険の場合、それが契約途中で変更が可能です。積立形式の場合は、途中で支払いを正式に止めるプレミアムホリデーが設定でき、また一部引き出しも契約者貸付制度を利用せずに可能となります。

ユニバーサル生命保険の3つのメリット

1 保障と貯蓄の両立

ユニバーサル生命保険の場合、支払った保険料の中から死亡保障を購入しますが、残りの保険料は運用に回されます。したがって、死亡保障部分は途中で解約しない限りは、契約当初から満100歳までずっと保障が提供されます。完全貯蓄というわけではないので、解約返戻金の増加スピードは緩やかですが、確実に増加し、いずれは支払った保険料を上回ることが期待できます。

2 インフレーションに強い

通常の日本の生命保険の場合、予定利率は購入時の際に実質固定をされてしまいます。したがって、低金利環境下において保険契約をした場合、相対的に不利な契約であるということはできるでしょう。これは、保険契約に見合う資産として日本の生命保険会社は国債を主に購入して対応するからです。もちろん、その後さらに低金利環境が訪れるかもしれませんが、何十年と経てばインフレ環境に戻り、金利も上向きます。そのような際にでもユニバーサル生命保険の場合は、利回りが上昇するため、時代に合わせたインフレに強い生命保険であると言えるでしょう。

3 運用を楽しむこともできる

典型的なユニバーサル生命保険の場合、運用は保険会社に任されますが、これを自分で、あるいは運用会社に依頼をして行うこともできます。このような契約を、変額ユニバーサル生命保険(Variable Universal Life Insurance)と呼びます。運用先として投資できる資産はファンドだけのこともあれば、株式や債券など、証券口座のような自由度を持って選択できるものまで様々です。

ユニバーサル生命保険の3つのデメリット

① 保険の維持コストが高い

ユニバーサル生命保険の場合、当初保証利回りが高めに設定されることがありますが、それを過ぎると最低保証利回りは格段に下がる傾向があります。もちろん、運用利回りが高く維持される可能性もあるのですが、この最低保証利回りでは保険の維持コストを上回ることができず、最終的に保険契約が失効してしまうことすらあり得ます。本来あるべきであった死亡保障すらなくなってしまうので、最悪の結果を招くとも考えられます。

② 運用力に依存する

もともと、通常の生命保険では、運用利回りと保険での提供利回りの逆ザヤが保険会社側で起こることを回避するために作られたという面があります。にも関わらず、保険会社が利回りを決定する、ということは最終的には保険会社の運用力を際立たせる結果となリマス。また、変動ユニバーサル生命保険の場合、ある種、運用責任の顧客への転嫁でもあります。それにより顧客は投資判断を自身で可能になる一方で、保障内容を自ら実現する必要が出てくるため、最終的な運用力がものをいうということになります。まるで運用口座なので、アカウント型保険と呼ばれることもあります。

③ 原資産の所有権はない

まるで運用口座だということではありましたが、単に証券口座で運用するのと異なり、投資した資産に対する所有権はありません。顧客が得るのはあくまで“原資産の価値”のみです。したがって、株式を保有しても株主としての権利はありませんし、所有者として表に出ることもありません。あくまで、金融資産としての価値を享受するのみです。

ユニバーサル生命保険を購入すべきか

ユニバーサルと言われると何だか凄そうな気もしますが、要は様々な生命保険の組み合わせで出来上がっています。カスタマイズできる点が富裕層には評価されがちですが、結果的には顧客が求めるものを既存の生命保険で実現することも可能です。とはいえ、低金利環境下において魅力的な保険に出会うことができなくなった場合、運用リスクをとってでも変額ユニバーサル生命保険に入りたいと思う人はひょっとしたら増加するかもしれませんね。変額ユニバーサル生命保険の場合、保険契約の中で行う運用に関してはキャピタルゲイン税がかからないため、税の繰り延べを行うこともできます。これは単純に証券口座で取引をすることと異なる点ですね。

上記で挙げた以外にもメリット・デメリットは多くありますから、よくよく検討をしてご自身に合うものを探したいものです。

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