資産運用を継続するのに大切な5つのこと

あなたにとって“ベストな”投資戦略とはどのようなものでしょうか。恐らくそれは、

あなた自身が長期間にわたってこだわりたいと思う投資戦略

なのではないでしょうか。

多くの人にとっては、投資を通じた利益は最初は絶対値として小さいものです。しかし、時を経ると複利の力が働き、絶対値として大きくなっていきます。

ただ、そのときにはメディアの報道を見たり、あるいは感情的なものが加わったりして、あなたのその投資戦略に対するこだわりを脅かしていきます。

長期間にわたって分別のある投資を行うために大切なことを5つ挙げてみたいと思います。

1 低金利環境でも現金保有を悪と思う必要はありません

過去10数年間で、極めて低い金利の環境となり、一方で株式市場をはじめとしてリスク資産のパフォーマンスが良い状態になりました。これを見て、「現金を持っていることは悪だ」と思う人は少なからずいます。

「株式市場がこれほどパフォーマンスが良いのに、なぜ金利1%以下の現金を持ち続けるのか?」

コロナショックは投資家にとって、現金保有の大切さを気づかせてくれた好例だったのではないでしょうか。現金を十分に持っていないというだけで、不確実な世の中では不安が増幅されてしまい、不安だけにとどまらず、実際に急激な現金化を余儀なくされたりするのです。

もし焦って現金化をするようなことになれば、長い長い投資の旅を途中で終わらせることになってしまいますし、さらには元来た道を戻らなければならないかもしれません。

金融市場環境が良かろうと悪かろうと、半年から1年の費用をカバーできるだけの現金は保有しておくことが大切です。

2 リスクを取ることを目的にしてリスクを取ってはいけません

例えば株式市場が右肩上がりを続けている、あるいはあるファンドのパフォーマンスが優れているからといって、不必要に追加投資をすることは望ましくありません。

「株式市場がパフォーマンスが良い。もっと資金を投下しよう。」

あなた自身が取ると決めたリスクの量は現在の市場環境によって変わることはありません。それはボラティリティ(変動率)に対するあなた自身の耐性であり、それによって達成される目標とのトレードオフです。例えば、株式:債券=80:20のポートフォリオを持っていたとして、株価が急激に下落をしたとしたら、あなたは気持ちよく深い眠りにつくことができるでしょうか。

もし気付いたときにポートフォリオのバランスが崩れているとしたら、プロフェッショナルなアドバイスをすぐにでも求めるべきでしょう。

3 分別のある分散をしましょう

あなたは長期間にわたって投資をしてきて、あなた自身のポートフォリオについて十分に分散ができていると思っています。アメリカやイギリスの様々な資産に投資をするファンドに投資をしているからですね。

しかしながら、分散されているように見えるこのポートフォリオも、結局はアメリカやイギリスといった特定の地域に偏っている、という風に考えることもできます。また、アメリカだけでなくイギリスも、という分散はできていても、どちらにせよファンドは株式にしか投資をしていない、ということになってはいませんか。

大切なことは、分散の中身を知ることであり、可能な限り相関の低い資産を持つことなのです。

4 価格のアンカリングに惑わされないようにしましょう

人間誰しも購入したときの価格=購入コスト、あるいは過去に見たことのある価格を意識してしまいますが、これをアンカリング効果といいます。

資産価格が下がったときに、あなたはなぜか分からないがいずれは元の価格に戻るのではないかと期待をしてしまいます。

今の価格は今の価値であって、それが未来永劫同じであると錯覚すれば、分別のある長期投資からはかけ離れてしまいます。

例えば、従業員ボーナスで会社の株式を受け取ったとしましょう。2000万円分受け取った株式が今は1億円にまで価値が増えたとします。あなたは1億円分の株式1銘柄を持ち続けたいでしょうか。もしそうでなければ分散をするタイミングに来ているということです。

5 投資をする理由を思い出しましょう

投資をする理由を将来のため、とあなたはいいますが、どういう将来のためなのでしょうか。もしそこに具体的なものがなければ投資の意味と方向性は曖昧になります。

どういった未来を思い描いているのか、理想の生活とはどのようなものなのか、を考えることが真の意味です。もっと時間があったとしたらあなたは何をしますか。一見投資とは関係のないこの質問こそ、本質的なのです。

投資を行なったとしても達成できないのだとすれば、果たしてその投資の意味とは何なのでしょうか。

最後に

投資を面白いと思う人もそうでない人もいると思いますが、投資を行う理由は、投資以外の何かを実現するため、という場合がほとんどです。もちろん、投資そのものも楽しいに越したことはありませんが、投資熱はいずれ冷めるものです。

長期間にわたって続けられる投資戦略

を意識してみてください。