プライベートバンクでの税金に関する注意点

プライベートバンクを利用する人というのは既に一財をなした人であるため、不思議なことに積極的な運用への関心は高くないことがあります。一方で、様々な形で税金と向き合ってきた経験から、蓄積した富に対しては税金がかかることは避けたいという意識が強いようです。ここでは、プライベートバンクを利用する際の税金に関して注意点を挙げてみたいと思います。

1 プライベートバンクは税務調査の対象になりやすい

プライベートバンクの場合、残高ゼロで口座開設することはないので、プライベートバンクの顧客の層は限定されています。

税務調査を行う場合、もちろん小さな漏れも大きな漏れも同様に漏れは漏れですが、大きな漏れの方が看過できない(し、税務調査の費用対効果がいい)ので、資産の多い人をターゲットにして実施されやすいと言えます。

つまり、プライベートバンクの顧客をざっと見渡すだけでも、叩けば出る埃があると、ヤマをはることができるため、税務調査の対象にはなりやすいでしょう。

近年では、税務調査のきっかけとして、海外の金融機関から取得したCRSのデータや、個人が税務申告で出す国外財産調書などがヒントになるようです。

2 プライベートバンクは申告漏れが起こりやすい

プライベートバンクの所在地は海外でかつオフショア地域にあることが多く、そのため税務上の処理に関しては、極めて簡素なものになる傾向があります。源泉徴収税やキャピタルゲイン税などもなく、結果として運用益はまるまる口座の中に残ります。

このときに気をつけたいのは、プライベートバンクが一人ひとりの顧客に合わせて必要な税務申告をしてくれているわけではないということです。つまり、(本来銀行が申告するものでないにも関わらず、)申告した結果、税金がかかっていないのだと勘違いする人がいます。

税金の申告は顧客自身の義務であり、能動的なアクションが求められることに気づかない人は多いとされます。

かつては、プライベートバンクに秘匿性があり、それゆえに税務調査が及ばないと考える人もいましたが、今では、税金の問題は極めてクリアでなければならない、と考えられています。

3 「オフショア=節税=プライベートバンク」ではない

この3つのワードはしばしば同時に語られるのですが、必ずしも同義ではありません。

オンショア(国内)でも節税方法はありますし、オフショアだから必ず節税できるというものでもありません。まして、税制というのは国の法制度ですから、プライベートバンクそのものが税金の安い商品を提供しているわけではありません。したがって、プライベートバンクにお金を預けることが節税になると考えるのは間違いです。

ただし、プライベートバンクでは国際税務に強いプロが対応しているので、適切なアドバイスが得られる可能性はあります。プライベートバンクは税金の問題を解決する場所ではなく、やはり資産を預け、そして増やす場所、であることが最も大きな価値です。そのために、オフショアという効率的な金融市場を利用しているのです。

4 プライベートバンクにおいて納税地の申告は正しく行う

プライベートバンク口座において重要なのは納税地の申告です。国外在住者を受け入れているプライベートバンクでも、納税地はきちんと聞かれます。

仮に正しく申告しない場合、プライベートバンク自身が脱税幇助をしたのではという疑いをかけられ、業務停止処分を受けるリスクすらありますから、プライベートバンク側もかなり慎重な姿勢を取ることになります。仮に虚偽の申告をした場合、プライベートバンクから口座開設を拒否される、ということにも繋がりかねません。住所や納税地が変わった場合もしっかり更新しましょう。

海外資産に対する税務申告の方法は?

海外プライベートバンク口座における運用損益(利子所得、配当所得含む)に関しては、日本居住者の場合、日本国内の口座での取り扱いと何も変わりません。ただ、源泉徴収はないことが多いので、その分をマニュアルで計算することになります。

とはいえ、個々の取引については取引報告書に書いてありますし、複雑なことをしない限りは大した労力ではありません。もし必要であれば、海外資産に強い税理士に任せるのもいいでしょう。

投資資産や投資手法によっては税の繰り延べになる可能性はありますので、事前に担当者に確認しておくことも大事です。

脱税幇助はできないが節税方法には明るいプライベートバンク

プライベートバンクの場合、顧客が富裕層であることもあり、同じような税金の悩みが持ち込まれます。もちろん、同じ人間が二人いることはないので、ケースバイケースのものが多くはなってしまいますが、その難解なケースバイケースに対応してきたノウハウもプライベートバンク担当者の頭の中には蓄積されていることがあり、よい担当者と出会うだけでその後の展開が変わってくることもあるでしょう。とりわけ国際フィナンシャルアドバイザーの道を歩む人は極めて限定的なので、そのレアな人材を探してみる、というのも有効かもしれませんね。