不況に強いテレビゲーム市場への投資を考える

テレビゲーム市場は不況に強い!?

テレビゲームの将来を皆さんはどう考えるでしょうか。若いうちはやっていたが、年を経てやめてしまった人、あるいはずっと続けている人もいることでしょう。

新型コロナウィルスの感染拡大によって、「巣ごもり消費」という言葉が広まりましたが、その中でひっそりと、そして力強く伸びた市場はテレビゲーム市場です。もともとテレビゲーム市場は不況に強いと言われており、数ある娯楽の中でも最もお金がかからず、そして様々な体験ができるためです。

リーマンショック時も人々はテレビゲームに走ったと言われています。一人でも、そして家族でも楽しめるものとして底堅い消費が特需へと繋がるようですね。ただし、今回のコロナショック化においては、見本市なども中止されたことで、思ったよりも特需を拾いきれなかったとも言われています。

e-スポーツやテレビゲーム市場の変化

座ってコントローラーを動かすだけのゲームだけでなく、昨今は体を動かして楽しむものも出てきています。また、リアルの選手が競い合うだけでなく、e-スポーツやテレビゲームとして、プロが登場し、そして競争して賞金を受け取る、といった側面も出てきています。バーチャルの世界にトッププレイヤーが現れつつあるのです。

また、テレビゲームというのは若者の市場だと思われがちですが、実は幅広い年代の層から受け入れられており、加えてなかなか外に出歩けない高齢者にとっても楽しく運動する機会を提供したり、また世代を超えて体験を共有する機会になったりすることで受け入れられつつあります。

何が流行るか分からないのはアートと同じ原理

テレビゲームの場合、次々と新しい作品が世に出回る中で、実際に長く愛されるものもありますが、何をきっかけにして流行るようになったか、そして同じようにまた流行るものを生み出せるかは分からないことが多いです。そのため、アートと同じ原理であり、時代背景によって流行り廃りがあったり、様々な作品を作り出し、その中からヒットするものが出ることを祈るしかない、という面があります。

知的財産(Intellectual Property)が最も大きな差別化

ヒットした作品の場合、テレビゲーム以外にも様々なノベルティを展開したりと、ビジネスチャンスが広がっていきます。このときに重要になるのが知的財産(IP)です。知的財産、つまり著作権を適切に管理できれば、より大きな流行を作り出すことができます。知的財産権の管理といっても、権利主張をすることだけが重要なのではなく、その権利を利用する事業者についても品質の管理を徹底したり、もともともイメージが損なわれないようにしたりするなど、やることはたくさんあります。

一つの国で流行っても別の国では流行らない

不思議なことにテレビゲーム市場はさほどグローバルではありません。ある国で流行ったゲームが他の国で流行るとは限らないということがしばしば観測されています。ポケモンのように世界中で愛されるようになることは極めて稀だと言えるでしょう。言語的な障壁以外に明確にその答えを提供するものはありません。今後は世界的に流行るテレビゲームを作ることも一つの大きな目標となったくるかもしれません。

e-スポーツを支えるインフラは分断化されている

スマートフォン、ゲーム機、クラウドストリーミング、VRシステムなど、現時点ではソフトを支えるハードたるインフラの方が分断化されてしまっています。将来的には同じゲームをサーバーからダウンロードして様々なプラットフォームで利用することができるようになるかもしれません。また、等しくサービスを受け、そしてプレイヤーとして最高のパフォーマンスが出せる環境をどこでも提供できる、そういったインフラも必要になってきます。

現時点で、ハードウェアを通じて実現している環境をクラウド上で完全に実現するのは非常にハードルが高いと言われています。ただし、今後は次世代通信5Gによる高速通信などが普及することでハードウェアを代替する日が来るのではないかとも考えられています。

投資家としてテレビゲーム市場を見るなら

先述したように、テレビゲーム市場はアートと同じで掘り出し物を見つけることができればその後の知的財産権などを通じて大きなリターンを得るだろうと考えることができます。

ただし、当たるかどうかは早い段階で見極めるのは難しいかもしれません。長く愛される知的財産となるにもそれなりの努力が必要なのです。したがって、個々には決してリスクの低い投資と言うことはできないでしょう。

一方、業界としては景気の中のサイクルで言えば、不況にも強いこと、また5G化の流れに上手く乗ることができれば伸びていく業界であることは間違いないでしょう。不況下でのディフェンシブ投資銘柄として定着していくのかもしれません。