今回は、激動の2020年のマーケットを受けての各社の予想の変化や、年末に向けてのコメントなどをまとめてみたいと思います。
ゴールドマン・サックス【2020年8月17日更新】
投資家の中で、マーケット予想において、米系投資銀行ゴールドマン・サックスの予想を見ている人は多いと思います。それは、よく予想が的中する(と言われている)からではありますが、直近の米国株についてアップデートがありましたのでまずはそこから見ていきましょう。
まずは2020年5月時点での年末までの予想は、当時のS&P500の水準である3,000から約20%下げ、2,400に達した後、2020年末にかけて再び3,000まで上昇する、というものでした。
確かに、2020年3月からは財政政策と金融政策の両面で経済を支えることができたものの、実体経済の回復が追いついておらず、再び調整局面に陥る、という理由によりました。
2020年5月のGS予想
その後、S&P500は実際は上昇を継続し、3,400に迫ったタイミングで、ゴールドマン・サックスは株価予想を上昇修正し、従来の年末予想である3,000を20%引き上げ、3,600としています。
2020年8月のGS予想
市場を見てきたゴールドマン・サックスのストラテジストですらこの株式市場の動きは大きく、そして予想し難いものになっているようです。
J.P.モルガン【2020年半期更新】
同じく米系投資銀行のJPモルガンはどうでしょうか。今度はリアルタイムなものではなく、年間見通しから読み解いてみます。コロナショック前のものであるということは念頭に置いておきたいですね。
2019年末時点で、JPモルガンは2020年末のS&P500の予想値を3,400としていました。ただし、過去2年間のような力強い伸びは期待できないだろう、との指摘もありました。
JPモルガンは中間予想において、Podcastを配信しており、中央銀行が明確に金融危機の至現を避け、市場に流動性を供給したことがここまでのある意味異常な金融市場の動きを支えていることを指摘しています。
フィディリティ【2020年7月15日更新】
米系投信大手のフィディリティは、直近、米国株式以外の世界の株式を見るべきだとアドバイスをしています。なぜなら、米国で中央銀行から大量の資金供給が行われたにも関わらず、最も恩恵を受けているのは米国であり、それ以外の国々ではまだ上昇幅が相対的に小さいからです。
ただし、米国以外、と一括りに言ったとしても、様々な選択肢があるので、よくよく吟味すべきであると言えるでしょう。
ブラックロック【四半期更新】
同じく米系最大投信のブラックロックは、株式市場に関して楽観的になる理由も悲観的になる理由も同様に存在する、としています。2020年3月に記録した底辺にタッチすることは想定しないものの、ボラティリティの上昇が予想されるため、それに備えるべきであろう、と言っています。
ラッセルインベストメント【四半期更新】
米国を本拠地とする資産運用サービス調査会社大手のラッセルインベストメントは、引き続きリスク資産にとって良好な環境を指摘するも、新型コロナウィルスの第二波、あるいは米大統領選をリスクシナリオに挙げています。米大統領選におけるファクターとして、株価の好調さと、米中対立の過激化がトランプ現大統領にとっては追い風であると考えられている点であり、それをもって市場が不安定になることを指摘しています。
Global Market Outlook – 2020 Q3 update : The great reopening – Russel Investments
マーケットの各社予想を俯瞰する
ざっとまとめてみて思ったことは、多くがリスクシナリオを掲げており、あまり市場に対して楽観的な見方はもっていないことですね。ただし、第二四半期に見られたような株価上昇が起こること自体は否定していないので、総じてマーケット慎重論が中心とでもいったところです。
さて、市場が落ち着くのかはたまた荒れるのか、残り半年の動きには注目です。