今回は、投資を始めるときの予算組みにおいて、一括か積立か、という選択に迷ったときに考慮すべきポイントをまとめてみます。
一括投資か積立投資かはあなた自身の状況による
まず最初に押さえておくべきは、世の中には一括投資商品と積立投資商品がありますが、どちらの商品が優れているか、ということは二の次にすべきだということです。
なぜなら、積立投資であっても時間が経てば一括部分と積立部分が形成されるので、要は投資に資金が回っていることにさほど違いはないのです。
したがって、一括か積立かを決める上で最も重要なことは、手法の問題でも、商品の問題でもなく、あなた自身の状況による、という点です。これについて次から見ていきましょう。
積立投資は「収入に対する割合」で考える
積立投資を最初に選ぶ人の多くは、投資そのものに興味が出たということ以上に、まずは貯蓄がないので貯蓄を作り上げたいという意識をお持ちの方なのではないかと思います。つまり、前提となる資産がない状態からのスタートです。
毎月の収入に不安はないが、一方でその一部を自分で取り置いておくことが苦手な場合、口座引き落としやクレジットカード払いで、ある種強制的に積み立てることは一つの選択肢です。
昔は預金通帳の金額が増えていくことを楽しみに貯蓄する人がいましたが、もはや通帳が存在しない時代になってきているので、新しい貯蓄の形としては、出ていくおカネと錯覚させることが一番いいと感じる人もいるようです。
収入的に少し余裕があるな、と思うのであれば、その収入を強制的にカットする(横へどける)ことで、資産を築くのを助けてくれるでしょう。将来に備えるために、今の幸せを我慢する必要はありませんから、無理のない割合での積立をアドバイザーと相談してみるのが良いかと思います。
一括投資は「資産に対する割合」で考える
一括投資を選ぶのは、当然ですが、今時点で投資資金がある人、あるいはまとまった資金が入ってくることが決まっている人になります。
コツコツ貯めて資産ができた人もそうですが、宝くじに当たった、経営する企業が上場した、工場やビルを売ってしまった、などで急に資金が入ってきた場合も当てはまります。
一括投資をする前に、確認すべきことは、今後大きな出費がないかどうかです。例えば、家を買う、結婚する、子供を留学に行かせる、新規事業と立ち上げるなどです。
もしあったとしても、それが来月の話なのか、一年後の話なのか、あるいは十年後の話なのか、では意味合いが違ってきますから、余剰資金の中でもどのくらいを何年くらい投資に回せるのか、ざっくりとでいいので可能な限りイメージを持っておくことが大事です。
もしそれで、投資に回してもいいと思える資金があるのであれば、一括投資を思い切ってやってみるのが良さそうです。
積立投資と一括投資を比較する
積立投資は勇気ではなく”継続”が必要になってきます。
もちろん、途中でやめるのはどうかと聞かれることがありますが、基本的には「続けた方がいい」が答えです。積立投資というのは、外貨建てで行うにしても、投資信託で行うにしても、ドルコスト平均法を利用します。
「ドルコスト平均法」とは、価格が日々変わる投資商品を一度に購入せず、一定額ずつ時期を分けて購入することで高値づかみを避け、平均購入価格を下げることを狙う投資手法のこと。
ドルコスト平均法を使う以上は、極端に優れたリターンを期待すること自体、実は現実的ではありません。
逆に言えば、ありふれた商品以外で積立をすることはおそらくないでしょうから、リスクの高い投資に資金を突っ込んでいないかどうか極端に身構える必要もないわけです。
もちろん積立商品の手数料などはしっかり確認しておかなければ増えるはずのお金も増えませんが、上手くいけば心地よい程度に資産形成をサポートしてくれるでしょう。
一方、一括投資は勇気とともに”忍耐”が必要になってきます。
例えば、初期投資額が1億円だったとしましょう。1年後に10%のリターンが生まれたとき、その次の年の運用額は1億1千万円になりますね。そこで人は立ち止まって考えます。「今年10%のリターンが出たのなら、来年はマイナス10%の損失かもしれない、そうしたら1億1千万円×90%で9千9百万円だ。おや?リスクの取りすぎか」と。
”運用資産が増えるからリスクが増える”
という考え方が正しいかと聞かれたらYesでありNoでもあります。Yesなのは本人にとっては大切な資産であるから、Noなのは金融市場全体からすれば大きな資金とは言えないからです。
余裕がなくても継続することが大事なときもあるにはある
少し話が脱線したかもしれませんが、要は収入に余裕があれば積立投資だし、資産に余裕があれば一括投資だ、ということになりますから、答えはありきたりかもしれません。
ただここで、もう一つだけ聞くエピソードとして多いのは、「積立投資を始めた後、結果的に余裕がない時期もあったが、とにかく続けていて良かった」ということです。
人生には波があるし、多くのことはいつ起こるか予想ができない、だから結果として、ある意味手元にないお金で良かったということだそうです。
投資は長く続けることが大事ですから、短期的な出来事で辞めたり再開したりを繰り返さないことも大事なときはあります。
積立投資か一括投資かは人生フェーズでも変わってくる
前段のように、無理をして積立投資を続けた結果上手くいく事例は決して多くはないので、やはり無理のない範囲でやることがベストでしょう。
友人と比較してどうだ、というようなものでもありませんし。実際、少しずつ余裕が増えて、その都度運用を増やしたので、いくつかの運用商品を買うことになったという人も多いですね。
そのため、最初は積立であったとしても、資産ができてきたのであれば、それを一括投資にまとめる、というのも一つの手にはなってきます。
また、投資初心者だから積立投資だ、と早急に結論づける必要もありません。人生フェーズのそれぞれで、ご自身が利用できる商品が変わっていないかどうかをチェックすることは大事なことかもしれません。資産や収入のどのくらいを投資に回すべきか、よく検討してみてください。