社債を購入するときに気をつけるべきこと

個人で買える社債とは

社債というのは企業が事業資金を銀行以外の人から借りるために発行する債券のことです。企業の資金調達方法には様々ありますが、株式発行とは異なって、社債には満期がありますので、いつかは返済しなければならない資金として認識されます。つまり借金です。

一般には、社債による調達規模は大きいので、年金基金や保険会社など、いわゆる期間投資家向けに販売されることが多いです。あまりに小口で販売してしまうとその後の事務が煩雑になったりしますので、最低取引金額も例えば2,000万円くらいからと少し大きめです。

比較的多くの企業が社債を発行していますが、一方で、お金を借りる必要のないくらい安定した企業は社債の発行をあまりしないこともありますので、気になる企業があって社債投資を考える場合は、社債発行状況を調べる必要があります。

社債への投資メリット

社債によるリターンは

  • 利子(クーポン)によるインカムリターン
  • 価格変動によるキャピタルゲイン

の2種類です。

このうち利子(クーポン)については定期的でかつ固定のものが多いので、社債は「安定的な収入を得たい投資家向き」というのが基本的な考え方です。

また、社債には元本が返済される満期が存在しますので、仮に途中で価格変動があったとしても、最後は必ず元本分の返済でもって投資が終了するので、安心といえば安心です。

逆に言えば、年間20%や30%など、短期的で大きなリターンを求める投資家には向いていません。とはいえ、社債にも色々あるので、次のようなリスクを考えるのが良いかと思います。

社債に投資をするときに気をつけるべきリスク

① 信用リスク

社債は借金です。したがって、発行した企業がきちんと利息とそして元本を支払ってくれなければ意味がありません。

魅了的な利回りを提供する企業ほど、信用力が弱い=借入に対して高い費用を支払う必要がある、ということなので、信用リスクは増大します。債券だから安全と安易に判断するのではなく、発行企業の事業内容や財務状況を確認することが重要です。

また、多くの発行企業、発行債券にはそれぞれ外部格付け(S&P、Moody’s、Fitch)が付与されています。格付けは中期的な返済能力を判定するとされるため、購入時点の格付けだけでなく、格下げが続いていないか、各社の判断が大きく分かれていないか、なども一つの判断材料になります。

外部格付けは各企業が格付け会社にお金を払ってつけてもらっているものなので、わざわざつけてもらう必要がなければ無格付けというケースもあります。無格付け=格付けがつかないほど悪い、という意味ではないので、発行体格付けや同じような債券での格付けの状況を参考にしながら、投資をするのも良いかもしれません。格付けを頼りに投資をする人も多いので、しっかり分析できれば良い社債に出会えることもあります。

格付けの他にも、社債には弁済順位(優先、劣後)というデフォルト時の返済における優先順位が決められていますので、どの程度のリスクが取れるのかは十分な検討が必要です。

② 価格変動リスク

社債は金融市場で取引をされていますので、毎日債券価格が公表されていることが一般的です。価格があるということはいつでも売却できる、という安心感がある一方で、常に評価損益に晒されるので、やむを得ず中途売却するときには損失が出る可能性があり、決して元本保証があるわけではないことは理解しておく必要があります。

③ 中途償還リスク

社債は借金です。したがって、住宅ローンを借りた消費者が繰上返済を行うのと同じように、企業も借金を早めに返済することがあります。特に、金利が低下した局面ではより安く資金を調達できる可能性があるので、社債を償還し、”借り換え”を試みます。この場合、もともとの社債保有者は借り換え後の社債の保有者に自動的になるわけではないので、予定していたリターンを得られなくなる可能性があります。

社債はどこで買えるのか

ここまで見てきて、もし具体的に社債投資を検討してみたいと思った人は、おそらくその購入方法に戸惑うでしょう。なぜなら上場株式とは違って、社債はどこででも買えるわけではないからです。

1 社債の情報を収集する

世の中にはどんな社債があるのでしょう。金融機関勤務者のように、金融市場がリアルタイムが見れる端末があればいいですが、一般の人はそうもいきません。

しかし、大まかな情報を把握するのに役に立つサイトもあります。株式やビットコインのように人気が出れば価格が上がる証券でもないので、ブログなどで薦められているからといっていい銘柄とは限りませんから、購入タイミングや予算などを考えながら十分に検討をしてみてください。

2 社債が取り扱われる口座(運用方法)を知る

社債は証券の一種ですから、証券口座であれば対応しているものはあります。各証券会社によって取り扱っている社債の種類とそれにかかる費用などが異なりますから、詳細を確認しましょう。例えば、以下がありますね。

また、セパレートマネージドアカウントのように、あらゆる資産を総合管理できる口座も選択肢にはなるかもしれませんし、海外口座というのも選択肢です。ただし、口座開設国によっては税制が異なることもありますので、それも合わせて確認が必要です。

ここでのポイントは、口座のなかでは株式や債券、ファンドなど何でも購入できるオープンプラットフォームを選ぶことができるのが理想です。なぜなら、株式はこちらの口座で、債券はあちらの口座で、ファンドは…となると非常に管理が煩雑になるからです。

また、社債投資は比較的長期間になりますから、手数料安いからといって信頼の低い(=トラブル対応が悪い、倒産確率がそれなりにある)業者を選ぶことはあまりオススメできません。

3 好きなときに好きなだけ購入できるとは限らないと心得る

1で仮に色々と見た結果、世の中にどれほど魅力的な社債があったとしても、誰かが保有しているものに関しては、その人やその会社が手放してくれなければ購入することはできません。つまり、上場株式とは流動性の度合いが異なります。

金融市場では時価というものが存在しますので、「今安いので買いたい!」と思ったとしても、「少し価格は下がったが満期まで持っていれば損はしないので手放さない」と既存の保有者が思った場合は取引は成立しないのです。

逆にそこで、「絶対買いたい!」と言い続ければ足元を見られて高く売りつけられるでしょう。社債の取引には多少センスが必要なので、しっかり勉強するか、あるいは適切なアドバイザーについてもらうようにしましょう。また、海外口座の場合、ライセンス業者から口座開設サポートを受けることも大切です。

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